inkcube.org代表のMemorandum

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コンバーテック2023と学会活動

先週,東京ビッグサイトで開催されたコンバーテック2023展に日本画像学会のブースを出展し,来場者に活動紹介を行った.また,最終日の2/3には会場でセミナーを行った.

昨年7月の理事会でこの展示会への出展とセミナーの企画・提案を行い,当日は多くの仲間の協力を得て,準備・運営ができた.

なぜ,ここに学会のブースを出展したのか? 画像学会(メンバー)の保有する知識・経験,活動は,これまでのプリンタ業界のみならず,様々な「画像」を扱う業界,会社で活かすことができるはずであるが,これまで日本画像学会を知らない,あるいはあまり関心がなかった業界や会社が非常に多いと感じていた.そこでこれらに積極的に出向いて日本画像学会の活動や,いかに貢献できるかを紹介しようとしたものである.もちろん最終的に日本画像学会への入会につながればありがたいが.

これまで学会で様々な新しい試みを提案し,実現してきた.交流会,4DFF,オーガナイズドセッション,基礎講座等々.「よく,それだけ学会活動に打ち込めますね?」と皮肉も込めて言われることもあるが,別に学会をどうこうすることが主目的でやっているつもりはない(もちろんそれもあるが).研究者・技術者として自分でやりたい,すべきだと思うことをそのまま素直にやっているだけである.

会社でこうすべき,こうやりたいと思っても.たとえそれが正しい,社会に求められているという信念を持って提案したとしても,多くはその客観的事実の議論の結果より,単に人事権をかざした上司の不理解,既得権の防衛本能で,理不尽にも却下されることが多くある.

しかし幸いなことに学会は(人事権がないという意味で)みな同じ立場であり,熱意のある提案に対しては,その意味の議論の結果で否決されることはあっても,人事権や既得権をかざした理不尽な却下はあり得ない.まさに自己実現の場の1つとしてとても良い場なのである.

その思いに共感した仲間がいれば,会社の垣根を越えて協力も得られる.そういう場としても学会は活用できる.

さて,ブースでは説明員も兼ねたので他の展示を見る時間がなく,ごく近所を散策したのみだった.が,面白い機能性液体材料を見つけ,新しい応用を思いついたので,以下の2つのシンプルな質問をしてみた.

1. 液体に機能性材料は,どのくらい含まれていますか(比率)?

2. どうやって機能性材料を硬化させるのですか?

極めてシンプルで本質的な疑問だと思うが,展示にその説明はない.最初に聞いた説明員は「う~ん」次に紹介された説明員は私の質問におかまいなく,これまでの応用事例をひたすら説明するのみ.私がしびれをきらして再度上記の質問を繰り返すと,こんどは「御大」とでも呼ぶような人のところに連れていかれ,同じ質問をすることに.その御大は何を言っても「はい,できます」ばかりでまったくこちらの質問の意図を理解しようとしない.またまた耐え切れず質問を繰り返すと,技術の人間が見学に行っているので,戻ったら説明に行かせます,というのでブース番号を教えた.・・・それでその後どうなったか,当然誰もくることもなく,その日は終わってしまった.どうなの,この会社? ほんとうに大丈夫か?

・・・後日談.コンバーテックから10日後,大学から連絡があり,私宛のハガキがきていると.コンバーテックで尋ねた会社の御大からで,「ご要望があれば説明に伺います」と・・・.いや,あの時に説明して欲しかったな.渡した名刺には私のメールアドレスがあるのに,記載してない大学の住所を調べてハガキを送ってくるか?

やはりこの会社? ほんとうに大丈夫か?