inkcube.org代表のMemorandum

インクジェット,3D,その他テクノロジーについて.

プロジェクト型サプライチェーン

昨年の12月の関西シンポジウムで「3Dプリンタ,社会が変える,社会を変える」というテーマで講演しました.

講演の全体像は別途記載したいと思いますが,プレゼン資料を以下で公開していますので,興味ある方はご覧ください.

https://www.inkcube.org/archive.html

[社会が変える]というのは,社会変化,社会状況からの要請(影響)で3Dプリンタの活用場面,開発方向性が変わっていくこと,

[社会を変える」というのは,3Dプリンタの能力,可能性が社会の仕組みなどを大きく変えていくこと.

この両方の見方に共通して,3Dプリンタを巻き込んだサプライチェーンの変化も講演の中で取り上げてみました.COVID-19により,従来のチェーン型のサプライチェーン(下図上左)が分断され,生産活動に支障がでたのはご存じの通りです.COVID-19以前からですが,ネットワーク型(下図上右)に移行し,接点が増えることからこのような状況に強いと言われていました.

これらのサプライチェーンにもちろん3Dプリンタというツール,生産手段を組み込むことは可能ですが,より3Dプリンタの特質,様々な人が3Dデジタルデータに関わることができるという特質を活かすには,新しい[プロジェクト型サプライチェーン](下図下)を提案します.

これは商品(プロジェクト)ごとに,得意な企業,団体,個人が資産・能力を提供し繋がるもので,従来のチェーンで見られる要素だけでなく,資金や使い勝手,潜在顧客からの要望なども巻き込んだ新しい形です.そして商品(プロジェクト)が変われば,構成メンバーも最適なものに置き変わる,というものです.

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そして大事なのは,このプロジェクト型に完全に移行するのではなく,状況に応じて従来のサプライチェーンとの切り替えを柔軟に行えることが大切なのです.

このプロジェクト型ネットワークを提案した関西シンポジウムの直前に,まさにこの形を実践した英国の人口呼吸器製造・供給のためのコンソーシアムがあったことを知りました(VENTILATOR CHALLENGE:4か月の活動を経て解散した).