inkcube.org代表のMemorandum

インクジェット,3D,その他テクノロジーについて.

学会活動(1)

私が学会での活動を始めた「きっかけ」の1つを書いてみる.

20代の頃からインクジェット関係の発表があるコンファレンスには,チャンスがあれば参加させてもらっていた.初めて自分で発表したのも28歳だった.

自分の判断で自由に行ける立場になった30代後半からは,今所属している国内の学会の年次大会には必ず参加していた.ただ聴講するだけではなくほとんどの発表に対し質問をしていたと思う.わからないことを聞くというより,発表内容の矛盾(論理的展開の不十分さも含め)や,成果を示すための不足分などを質問,コメントしていた.だからきっと発表者にとっては厄介な存在だったと思う.発表者が私の質問に答えられず,後から発表者の上司や関係者がわざわざ席まで説明に来てくれたことも多々あった.

コンファレンス運営の不文律として,会場から質問がない場合や質問時間が余った場合は,座長が質問をすることになっている.(2004年の年次大会だったと思う)インクジェットのセッションで座長からの質問があまりに幼稚でくだらなかったことにショックを受けた.学会の組織を良く知らなかったのだが,「この学会のインクジェット担当の組織(インクジェット技術部会)はどうなっているんだ」と呆れてしまい,それなら自分の方がもっとうまく運営できると考えた.(後で知ったのだがこの時の座長はインクジェット技術部会とは全く関係なく,インクジェットの素人だった.これはこれで問題であり,後に改善する活動につながるのだが)

会社の学会関係の伝手を頼り,インクジェット技術部会に入会希望を伝えた.偶然にもこの時,インクジェット技術部会でも研究会の講師候補として私の名前が挙がっていたようで,めでたくインクジェット技術部会委員になった.2005年のことである.

2006年の途中からインクジェット技術部会の主査になったのだが,主査になって手をつけた1つは,もちろんコンファレンスのインクジェットセッションの運営(座長等)をインクジェット技術部会が担当するようにしたことである.

なぜ,このエピソードを今書いたか.最近のテレビ等の質疑や討論で本質を突いていない質問や議論があまりに多すぎる.もちろん立場上言えない場面も多いのだろうが,本質を議論しないで,真実を明確にしないで意味のある対応ができるだろうか.そんな嘆かわしい状況があまりに多すぎると思う.

「きっかけ」のもう1つは,初めて1996年に海外のコンファレンスに参加したこと.これはまた別な機会に.