inkcube.org代表のMemorandum

インクジェット,3D,その他テクノロジーについて.

削除した「ものづくり補助金」

学会誌8月号の3Dプリンタ特集向けの解説記事の締め切り前に,全文を読み返してみた.

その結果,最後のまとめに記載した以下の文章を悩んだあげく,削除することにした.

まずは削除した文章を以下に紹介する.

-----------------

中小企業向けの‘ものづくり補助金’を活用した3Dプリンターの導入のためのセミナーや申請サポートが行われている.これにより3Dプリンターの設置台数が増えたことは前向きに捉えるべきである.しかし単に従来製法やプロセスの置き換え手段としてのみを導入目的に捉えてしまうと,従来との比較の中でいつのまにか埃を被ってしまう例が多いと聞く.3Dプリンターの活用に向けた取り組みまで踏み込んだサポートや,啓蒙も併せて行う必要があるのではないだろうか.

-----------------

この文章は,4/25のブログで紹介した「なぜ日本で3Dプリンタの活用が進まないか」の文章に続いて書いたものである.補助金で導入したものの,使われていないケースがあることは様々なところから聞いていたので,ぜひ,書いておきたかった.しかし最終的に削除した理由は

1. データがない.活用されていない例がドキュメントになっているものがあればそれを参考文献とすることができたが,ネットにあるのはうまくいった事例やいいことを謳った宣伝ばかり.

2. 解説記事では様々な問題点や活用のための課題を取り上げているが,個別の事案(ここではものづくり補助金)を取り上げる内容にしていないので,少し違和感あり.

3. 画像学会の関係する会社に,補助金申請やサポートをビジネスにしている会社も多いので,上記2つの理由もあり,無理をしないことにした.

しかし,間違った見方ではないと思っているので,この解説記事に関する講演の機会があれば,そこでは強く訴えたいと思う.