inkcube.org代表のMemorandum

インクジェット,3D,その他テクノロジーについて.

残インク量と消費者の不満

インクジェットに関する一般消費者の不満,あるいはネットへの投稿における話題を見ると,インクカートリッジ(タンク)交換時のインク残量,すなわちインクカートリッジを交換する(交換せよとのアラームが出る)際,実際にどれくらいのインクが残っているのか,あるいは実際にカートリッジを分解して「こんなに残っているではないか」というのが多いのではないか.先日もカートリッジを分解してその内部の詳細な写真を掲載しているサイトを見つけた.

カートリッジに残り,捨てられるインク量はランコストを決める重要な要因であり,コンシューマプリンタのみならず全てのインクジェットプリンタを所有,使う人にとっては重要な特性である.

プリンタメーカーの肩を持つつもりはないが,あまりコストをかけず(つまりインクカートリッジの値段を上げず)リーズナブルなコストでの残インク検知精度とアラームタイミングの結果が現状であり,決してインクを多く残してインクカートリッジでの儲けを増やしたいと思っているのではない(と思いたい).私の商品開発部にいた経験からもあえてそんなことはしないはずである.

コンシューマプリンタでは一般的には光学的な残量検知とピクセルカウント(何滴吐出したか)の併用で,インクがなくなるタイミングを予測し,アラームを出している.

当然リーズナブルなコストでの検出やカウントでは誤差が生じる.ただし[インク無しアラーム]はその誤差の中心で出すわけにはいかない(アラームが出たタイミングのプラスマイナス●%でインクがなくなります,という設定はできない).なぜなら早めになくなる方に誤差が生じた場合,アラームが出る前にインクが無くなってしまい,カスレや色相変化などの画像欠陥が出てしまう危険性があり,それは避けなければならない.個人で使っている分にはそれでも許してもらえる場面もあるだろうが,年賀状や高価な光沢紙のプリント途中での画像欠陥はやはり許されず,誤差のプラス側にアラームタイミングを設定せざるを得ない.

メーカーはリーズナブルなコストで誤差をさらに小さくする努力も必要であるが,消費者のため(欠陥を出さない)という思想に基づいているからこそ,インクがカートリッジに残ってしまうことがあることをもっと丁寧に説明すべきである.

また,インク残量少ない(無し)アラームが出たら,交換するまでプリントできないという仕様がコンシューマプリンタにおいて残っているとすれは変更すべきである.