インクジェットではプリントするために吐出する液体を「インク」と呼ぶのが一般的であるが,時々「インキ」と表現するメディアや記事を見かける.
インクとインキの違いは何か,おそらく英語圏で始まった技術由来か,ドイツ語圏で始まった技術由来ではないかと考えると納得がいく.つまり活版印刷をはじめ版を使う印刷技術で使われるものを「インキ」,インクジェットで使われるものを「インク」と呼べばなんとなく収まりがつくのではないか(インキジェットとは誰も呼ばないし).
これに関連し,昨日,目にしたニュースに『CSOT,印刷方式OLEDパネルを発表』というのがあった.以前からJOLEDがインクジェット技術を用いたOLED作成にも「印刷方式」と表現していたので,記事には記載がないが蒸着との比較をしている限りは,今回もインクジェット技術を採用しているのだろう.
「印刷方式」という言葉についても定義はないが,「刷」という漢字が使われており,やはり印刷方式と呼ぶからには刷版がある技術,これまでのOLED作成の一部に使われたこともあるスクリーン印刷等が「印刷技術」ではないのだろうか.確かに蒸着に比べれば[インクジェットは印刷技術]の仲間に入れたいのだろうし,他の作成プロセスにいわゆる印刷技術も使われていて,ひとまとめにしてこう呼ぶのかもしれない.が,なんとなくOLEDの世界で印刷技術というとインクジェットのことを指すようになってきたのは,ぜひとも止めたい.
刷る=コンタクト,インクジェット=非接触とう本質的な違いで今後の展開が変わってくる中,その本質を隠すような表現をすることはやめるべきであろう.
先日書いたファクトチェックというほどの間違いではないが,こういう記事も気になって仕方がない.