inkcube.org代表のMemorandum

インクジェット,3D,その他テクノロジーについて.

トランザクティブメモリ

自分の知識を広げるため,これまで会ったことのない人に会って話を聞き,また本や文献等を読むだろう.しかしそれらの知識を全て自分のものとして吸収することは出来ない.つまり自分の頭の中に(自分の関心ごとだけだとしても)百科事典を作ることは(私のような凡人には)できない.

しかし百科事典の目次を作り,それを活用することはできる.関係がある・関心がある情報が目次のインデックスであり,その情報・知識を持っている人の名前(アクセス先)が目次のページになる.

2006年以降,仕事内容や興味の対象をインクジェット技術応用に大きく変えた.その際,それまで持っていた名詞をほとんど全部捨て,そこから新たに出会い交換した名刺でリストを作り直した.(この1年は新型コロナ感染症広がりにより,名刺交換をする機会めっきり減ってしまったが)2006年から昨年まで新しく名刺交換をした人は年平均154人であり,2.5日に1回は新しい人に会っていたことになる.もちろんその人と話したり聞いたりした内容は覚えていない事も多いが,名刺交換リストには何時,どういう機会で知り合い,その人が何を専門としているのかを記している.つまり,出会った人の専門知識を全て獲得(吸収)しなくても,必要な時に必要な人にコンタクトできる目次を持っていれば良い.これをTransactive Memoryと呼ぶそうだ(私なりの解釈で).

新しい活動を始める際にも,また始めた活動を前に進める際にも,この目次,Transactive Memoryは大いに役立ったし,今でも役立つ宝である.

インクジェット技術交流会を作ったのも,このTransactive Memoryの良さを自分で強く実感しているからで,次の世代にもそう言う場を提供したかった.

次回は人との出会いと大きく関連するPlanned Happenstance Theory(計画された偶発性理論)について書こう.