inkcube.org代表のMemorandum

インクジェット,3D,その他テクノロジーについて.

今だけ,金だけ,自分だけ

この言葉は今年の国会で,ある野党議員が政府与党に向けた批判の言葉である.今年最も気に入った言葉の1つであるが,この言葉は今の日本の産業,経済の衰退(言い過ぎか),伸び悩み(やや柔らかい言い方)の根本の原因の1つを指摘している言葉としても相応しいのではないかと思う. 今だけ:もちろん企業にとっては目先の利益,特に株式を公開している企業にとってはステークホルダーに対する責任として目先の利益を確保することが大事なのは言うまでもない.しかし,先の事業や発展に向けたビジョンや投資が少ないのではないか.将来のためだけに力を入れろというのではない.時間軸を入れた全体のポートフォリオのなかで両者をきちんと位置付け,さらに状況に応じて常に見直すことを丁寧にやらなければいけない.このプロセスが海外の企業に比べおろそかにされていないだろうか. 金だけ:これも上と同じで利益が,つまりお金が入らなければそもそも会社は継続しないし,どんな立派な活動であれ,事業であれ実施できないのであるから最も優先順が高いのは当然である.今のSDGsの位置付けや取組にはちょっと疑問に思うこともあるが,社会が持続し,人々が幸せを実感するための施策や活動,うわつらだけでなく,ほんとうにそこまで考えて事業を行っている企業がどれだけあるだろうか. 自分だけ:[自社だけ]に置き換えても良いと思うが,自社を含んだサプライチェーン全体,さらに消費者まで含んで持続できる,そういうビジネスモデルや事業展開も必要である.少し話はずれるが特別扱い,抜け穴活用で儲けをだした企業も,特に今年は多く見受けられたが,そんな企業がワールドワイドで競争力を持てるはずがない. 今だけ,金だけ,自分だけの言葉の解釈は,今年書いた記事,例えば労働生産性の低さ新しいサプライチェーンの必要性新規市場への進出の考えにつながるものだと改めて感じる,私にとって今年の印象深い言葉の1つであったと思う.